ありあけの
瑞沢応援団がいる選手控室に、太一も合流。芹沢読手の序歌から、第五試合が始まる。若宮が四連取。札の神様に語り掛けるように、千早に札を送る。 行っといで みんな 迎えに行くさかい 呼んでね うちを 札の神様が千早を見上げている。若宮の視線も千早の方…
第四試合。若宮母は心配する。前年に負けた時は札を数えることも出来なかったのが、先の試合でちゃんと数えていたので、成長したと思っていたのに。そう聞いたこころの母は不思議そう。 「それちゃんと言うたったですか? 言うてやらんとわからへんですよ 子…
第三試合の大盤係は田丸。「あなたもここに来るんでしょう」という桜沢先生の言葉を思い返し、浦安の間の空気に呑まれる。大盤に札を並べてみると、千早の思考がとめどなく溢れて来て、視界が歪む。 千早が九頭竜の読みでよく動けている、と若宮が気に掛け始…
涙を拭いながら会場を出て行った千早を、新は試合の手を止めて見送る。周防に「あわじしま」「うらみわび」と二連取され、一枚差にまで追い付かれるが、頭の中で祖父が勇気づけてくれる。 大丈夫 彼は自陣の外側が苦手なのか ミスをしがちだ 押さえ手でくる …
予選第2試合目の読手は、牧野美登里六段。周囲の誰もが、身体がよく動き、音の反応も良く、一試合目で地力を見せつけた千早が優位と見ている。 最初の札は「おくやまに」。一戦戦って千早が「おおえ」と「おく」が得意と気付き、結川が千早陣から両方ぶっと…
千早は理音に、一字決まりとなった「しら」を送られ、上段中央に一枚だけぽつんと置く。奇策に驚く周囲。 原田先生は痛む膝を抑えながら飛ばした札を探すが、見つからない。対戦相手の美馬が拾ってあげようとしないので、坪口が拾いに行き、美馬を睨む。美馬…
太一が来た。願ってはいたが思いがけぬ人物の登場に、驚く部員と母親達。西田は隣の千早に伝えようとするが、千早は目の前に集中し過ぎており気付かない。太一は千早の陣を見る。 か… 勝ってる いま 6枚差? 新 相手に 勝ってるのか!? 新は額の汗を拭く。 …
太一が一人で高松宮杯に参戦すると聞き、驚く千早。がっくり項垂れ、顔を覆う。 「い…… 言えないのが 太一 なんだよね…」 修学旅行の時以来、二度目の「抜け駆け」。大江がきっぱり言う。 「そうです 言えないのが 部長です でも そう思ってしまったら 考え…
名人戦挑戦者決定戦。千早が新に視線を送ると、目が合った。胸を高鳴らせる両者。千早は隣に座る太一を見る。太一は厳しい表情で前を見据えている。 いろんな気持ちがあるから 100パーセント だれかを応援するって難しい…… 私も大人になったなー、と思う千早…
準々決勝。新と坪口、原田先生と村尾、太一は須藤、千早は猪熊との対戦。千早は相手が元クイーンとは知らず、西田に聞かされても「へーそっかー」とあっさりした反応。 太一は北央勢に腕を揉んで貰ったり、飲み物を飲ませてもらっている須藤を見る。 須藤さ…
大江に続き、千早まで怪我!? と立ち上がりかける太一だが、試合は続行。太一はお手つき。 ……まずい だれ一人 波に乗れない 千早まで 千早の指は実は、ズキズキと痛みが続いている。ただの突き指ではない……? ダメだ かなちゃんがくれた風を止めたらダメだ …
流れは瑞沢だが、大山札の攻防で、今度は逢坂が上手く取る。 囲み手破りの対策なんてやってるに決まっとお クイーンと戦う前提で練習してきたんや 逢坂がムキになって来たのを、千早は感じる。観衆の注目も、北央と富士崎戦から移り始めた。 明石女子のエン…
千早の対戦相手は、小6の立川梨理華。 軽い 身体全体で飛び出しても軽い 速い お手つきを怖がってない 耳もいい――…… 取られ続けている千早を見て、太一も焦る。 千早より速いのか!? まさか―― 千早…… 競技線から下がってる―― 苦戦していた千早だが、上手く…
準決勝。相手の声に圧倒され、千早は一枚目から取り逃す。太一に言われたのに。 おまえだけは 絶対に負けるなよ その言葉が背中に圧し掛かり、得意の「ちは」札すらチームで一人落としてしまう。 音が遠い―― 北央の須藤は偵察中。 声を出すのと出さないのじ…
かるたを蹴った新に、太一も激高。新を突き飛ばし、帰り支度を始める。もう昔の新ではないのだ。しかし、千早は「そんなことない」「信じてる」と言い募る。 「信じるとか言って 新に押しつけんな!」 その言葉にはっとする千早、そして新。 「かるた蹴る新…
札を一枚取れて嬉しい千早。千早に先取され、闘争心を燃やす新。 取られた まえやったときもそうや 気を抜いてたわけじゃないのに 「一字決まり」では千早に負ける!? 新の活躍により、ヒョロチームに大差で勝利。ここで新が小学校一年から五年生までの学年…