なにわがた
周防と若宮は快調。千早は四連取されている。新が以前、「試合をするときはいつも あの部屋(ボロアパート)に戻るんや」と話していたのを思い返す。 芹沢読手の喉元からの音を、周防が捕まえに来る。読まれたのは「ふくからに」。千早は取った札を拾いなが…
近江神宮の最寄り駅まで戻って来た太一。女子トイレに枕と傘の忘れ物があったと、駅員が話しているのを耳にする。 名人戦は周防の四連取。須藤が積極的に札を拾いに行く。 体が思うように動かなくても 目が悪くても ここにいてほしい いろんなかるたがあるは…
「このたびは」を詠んだ菅原道真、「せをはやみ」の崇徳院は、平将門と並んで日本三大怨霊と呼ばれるが。 べつに怨霊とか思ってへん ずっと遊んできたおっちゃんたちや 敵陣で並んでもかまへん でも 千早 あんたはわざとやったな? 若宮からの厳しい視線で、…
須藤は「ちは」を送られたが、「ちは」を捨てた太一の狙いは太一自陣、と読んでいる。 あと一枚だからと集中する理音は、突然顔の辺りに手が伸びて来て驚く。理音の前髪一本が落ちて来たのを、千早がキャッチしたのだった。再び集中しようとするが、次の札は…
小学生の時、眼鏡を失くした新はぼやけた視界のまま、かるた取りのイメージを浮かべて練習を始める。そこに千早と太一が現れ、千早が「眼鏡を探しに行く」と走って行ってしまう。太一が眼鏡を差し出して来る。眼鏡を掛けようとする先に見える、ぼやけた太一…
運命戦。原田先生は周防に送った「なにわえ」が出ないと予想しつつ、手元に残した「なにし」に迷う。「なにし」は語呂合わせで、名人の札とも言われている。一旦立ち上がり、場の空気を拾って呑み込む仕草。千早が見入る。 原田先生がよくやってた いつもの……
若宮は最後に札を数えなくてはならないのに覚束ない。勝者の仕事として、猪熊が札を引き上げて行った。 待って… 待って うち 最後になんの札持ってたん? なんの札取られて負けたん? 待って 待って みんな 行かんといて 名人戦二戦目は原田先生の勝利。須藤…
決勝トーナメントも駒野抜きで行こうと言う西田。千早と大江は疑問に思い、駒野本人はそれで良いと言うが、西田は今度は逆に怒り出す。 「なんで…… なんで言わねえんだよ? 『自分がスタメンで出る』って なんで? 一緒にずっとがんばってきたじゃんか なん…
瑞沢の対戦相手は、東大合格者数ナンバーワンの山口美丘高校。高校生クイズ選手権の優勝メンバーが三人も並んでいる。彼等はシャッフルした札をそのまま中央に固めて並べた。自陣に定位置がないらしい。千早はあからさまに動揺。 大会実行委員会は新のことで…
筑波は北海道の「下の句かるた」では負け知らずだったので、上の句かるたでも強くなると舌なめずり。C級の駒野ではなく、B級かつイケメンの太一に教わりたがる。下の句かるた独特の習慣を持ち込む筑波に、千早は困惑。しかし、筑波の札の取り方に、若宮との…
かるたを速く取るのを止めろ、と言う原田先生。 「速くなくてもいいんだよ 千早ちゃんの得意札は何枚ある? 5枚? 10枚? ものすごく速く取れる札があっても 残り全部取られたら かるたは負ける 速さへの執着を捨てなさい」 原田が千早に掛ける言葉を、周囲…
B級決勝戦に挑んでいる太一は、この日六試合目。前の試合の暗記が抜けきれず、ミスも出る。並んでいる札全てにそれぞれの作戦を組み立てているが、反応が遅れる。 速く 速くと思うのに 腕につながらない もっと動けよ! 頭は動いてんだよ!! もっと…… 太一…
太一は空き時間に千早の試合を覗きに行き、若宮の速さに驚かされる。千早は「おお」と聞いて敵陣を攻めつつ、自陣に戻っても完璧に札を取れる体勢だった。しかし、若宮は「おおえ」と決まり字まで動かなかったのに、敵陣から取った。格が違う、そろそろ戦意…
西田のかるた歴は10年。太一には、西田と大江の入部が有難い。 「おれ 千早には一回も勝てねーし おれが名人目指してるわけじゃねーから 勝てなくてもいいんだけど 千早の練習にはなんないじゃん」 西田が肉まんを頬張りつつ、太一に話す。 「綾瀬さー あい…
三人での下校中。 新も太一もいなくなるの? 一人になるの? 千早は「三月の大会には出ない!」と逃げ出す。 出ない かるたの大会なんか もうすぐ一人になるんなら 一人になるんなら かるたなんか楽しくない 男二人は「おれのせいで」「ぼくのせいで」と、原…