chiha memo

漫画「ちはやふる」の伏線や感想などの超個人的備忘録

第187首 あの子だけがヒーローだから

小学生の時、眼鏡を失くした新はぼやけた視界のまま、かるた取りのイメージを浮かべて練習を始める。そこに千早と太一が現れ、千早が「眼鏡を探しに行く」と走って行ってしまう。太一が眼鏡を差し出して来る。眼鏡を掛けようとする先に見える、ぼやけた太一の姿――


小石川は自分のかるたしか見えていない状態。新は落ち着いて進めようとする。取る札、取らせる札、そして取る札――で取った筈が小石川が拾いに立つ。新は驚いて自分の取りを申し出ると、小石川に「は?」と威嚇された。その表情は彼のTシャツに描かれた天狗の顔のよう。新は原田先生に言われていた。

いつもきみは負けたあと 鬼の形相で悔しがる 遅いよ

蒼白になる新。汗が畳に眼鏡に落ちた。間を取り、眼鏡を拭く。眼鏡を掛けようとする先に、高校生になった太一がいる。眼鏡を掛けると、まだぼやけているが表情が分かる。微笑んでいる太一。勿論、実際に目の前に居てはっきり見えているのは小石川。

読手にこの札を読ませるくらいの気迫で 自分の流れにもってくる白波会のかるた それはおれのかるたとちがう 悔しさを先取りして鬼になっては じいちゃんが笑う

クリアになった眼鏡で、新が「わたのはら・こ」を小石川の手にぶつかりながら取る。


新は前年予選で太一が負けてホッとしてしまったが、今回は違った。

うれしかった 名前があるのがうれしかった うれしいと思う自分がうれしかった

小学生の太一が「千早にはきらわれたくない」と言い、「ちょっとわかるわ」と答えた。

卑怯なやつ 卑怯さを見せてくれたやつ 気持ちがわかる わかるんだ 太一

新がまた鋭く札を取る。

太一が行こうとしてる場所に おれがえんかったら 話にならんやろ?

小石川はお手つき。新からの送り札は「ちは」。「必ず取ると勝負に出るの」と言っていた千早を思い浮べる。

取りたい でも おれのかるたは 流れるかるたや 運命を変えようというようなイメージはない あの部屋のイメージを手ばなしても 単純やな 心は向かっていくんや いつか3人で そんな未来へ

新が想像しているのは、同じTシャツを着ている大人になった三人。

読まれた「ちぎりおきし」で、小石川が「ちは」に手を出し終了。三枚差で新が勝利し、西代表となる。微動だにしない新に、驚愕する小石川。小石川が新の指の負傷に気付き、声を掛ける。

「大丈夫です 人にケガさせなくてよかった」

そんな新の返答に、小石川が「ヒーローか」と突っ込む。

ヒーローじゃない おれは おれたちは どんなにがんばったって あのとき走っていったあの子だけが ヒーローだから

思い浮べているのは、小学生の千早が眼鏡を探すため、廊下を走って去る姿。


千早を気にしている太一と、対戦中の須藤。須藤が太一から取る。千早も6-2ときつくなって来た。

千早には いるか? ヒーローが

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ほぼ新の試合のみ。新の回想で微笑む太一は、第26巻第134首の高松宮杯で対戦した際、太一が「かるたしよっさ」と声を掛けた時のイメージっぽい。千早が好きという新だが、今回は太一への思いの方が前面に出て来ている。新が想像した「同じTシャツ姿の三人」は、背中にある一部見えている文字は縦に「チ」「ち」とあるので、多分「チームちはやふる」。

「千早には いるか? ヒーローが」という独白について、「千早には」のコマは千早の方を見ている太一、「いるか? ヒーローが」のコマは新で、太一と新による独白というより、読者に向けた問題提起のよう。

読まれた札は西予選の描写のみで「はるのよの」「みかのはら」「みせばやな」「わたのはら・こ」「やまざとは」「なにわがた」「ちぎりおきし」。新の試合描写自体が少ないとはいえ、今回も「ちは」札を取れずに終わっている(読まれず敵陣に残った形)。