chiha memo

漫画「ちはやふる」の伏線や感想などの超個人的備忘録

第189首 消えていかないで

須藤は「ちは」を送られたが、「ちは」を捨てた太一の狙いは太一自陣、と読んでいる。

あと一枚だからと集中する理音は、突然顔の辺りに手が伸びて来て驚く。理音の前髪一本が落ちて来たのを、千早がキャッチしたのだった。再び集中しようとするが、次の札は千早の速い取り。

千早の陣はこれで、あと五枚。「はなのいろは」「おおえやま」「たれをかも」「たきのおとは」「なにわがた」、そして理音陣に「つくばねの」。

あと5枚…?

次に読まれた「こいすちょう」で、須藤がダブ。太一の視線に惑わされ、太一陣の「こぬ」に手を出した。3-3となる。

あの目 あの目は真島の武器だ

東大かるた会での練習時、周防が言った。

「須藤くんがいてくれて助かる 強くて 頭がよくて 性格が悪くて きみを負かすのがいちばん大変だ」

しかし、季節が巡り、周防は太一と練習するようになっていた。

真島… おまえじゃダメなんだ 似すぎてんだよ おまえら かるたが大事じゃなくて 周防さんはさあ かるたが大事な人間が 倒さないと続けてくれないじゃん? あの人

須藤が太一の陣から「ふくからに」を取って、「なにわがた」を送った。これで2-3。太一はそれを左上段内側にぽつんと置き、「たち」「たれ」を移動させ右下段に揃えた。視線もそちらに移している。

「なにわがた」が読まれ、千早が高速で取った。太一はぽんと緩い取りで、2-2。須藤は二枚の「た」しか見ていなかった。太一が須藤に話し掛ける。

「周防さんも言ってましたよ 読まれる札が 変な見え方するって よ… 読まれる札が ”消えて見える”って…… あるはずの札が消えそうになるから 手を 伸ばすって…」

「たごのうらに」で、須藤がお手つき。太一が1-3で逆王手。

「大事にしない」という方法でしか なにかを大事にできない

太一の視界には、消えそうになっている「ちは」。

消えて いかないで

「ちはやぶる」が読まれた。千早はビクッと反応するが、千早の方は空札。背後がワッと沸いた。審判が太一の三枚差勝利を告げているのを、千早は振り返らずに聞く。

「ちは」は 太一を助けた? よかった よかった

千早の目に、札が浮き上がって見えている。「おおえやま」を取った。続いて、理音の陣から「つくばねの」も。頬を紅潮させ見入っている筑波と大江。次に送るべきは「たき」「たれ」「はなの」で、千早が送ったのは「はなの」。ショックを受ける花野だが、まだ「はるす」が読まれておらず、「た」の聞き分けに千早は自信がある。「たきのおとは」が読まれ、千早は六連取。太一は見守る。

千早 引き寄せろ

理音が「はなの」、千早が「たれ」を持って、まさかまさかの運命戦。

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太一と須藤の試合終了。太一の狙い通り、須藤がお手付きを二回しての逆転勝利。須藤は太一の目力と心理戦にやられた。終了後の両者の表情は、見事全く描かれていない。千早は自身が試合中でもあるが、須藤に恩があるしで、「よかったよかった」の独白で描かれているのは背中だけ。思えば試合開始直前の第36巻第184首も独白で「太一がんばれ」のみだった。

千早の「あと5枚…?」は、五枚とはいえ空札もある、と残り札を把握している状態のようだ。理音は「あと一枚」が続き、千早とは逆で、視野が狭まって来ている。前巻からの「札が浮き上がる」話で太一が驚いていたのは、高校一年時の第2巻第11首では「正確に覚えられてない」段階だった千早が「完璧に暗記」出来ている成長振り、と今更ながら気付かされる。

原田先生と同じく「札が浮いて見える」という千早と、「消えて見える」という太一。千早は先生とクイーンを争うわけではないが、太一は先生とは敵になるのだから、同じ白波会だけれど違った見え方になって正解なのだと思う。第35巻第181首でも出て来た「生徒気分」と、回想場面にて須藤が「丸かぶりの技だけで戦うのか?」と苦言を呈していたように、先生と同じでは先生を超えられないから。その原田先生は太一について、前話に続き「恐ろしい」と評している。

髪キャッチ後に千早が取ったのは「おくやまに」。その後読まれたのは「こいすちょう」「ふくからに」「なにわがた」「たごのうらに」「ちはやぶる」「おおえやま」「つくばねの」「たきのおとは」。畳に残っている札は、理音側に「はなのいろは」、千早は「たれをかも」。