おおことの
周防陣から難しい「む」を抜いた新。一旦眼鏡を外すと、畳に並ぶ札がぼやけて見える。 わからんが おそらくもっとだ もっと視界が不確かだ どれだけ心許ないやろう 周防の状態をそう推察する。新が小学生の時に太一と眼鏡無しで対戦した経験から、周防が得意…
四戦目の勝利をもぎ取り、珍しくガッツポーズまで見せる周防。クイーン戦で「あい」を取ったのは千早で、残り札はあと一枚の1-5。次に読まれた「ちはやぶる」は空札。 こちらの札に「ちは」はなかった 新の試合中に「ちは」は出なかった 「ちは」は私のこと…
6枚差で新をリードしている若宮。 新とうちに差があるとすれば 流れを呼び込む力―― そのくらいしか思いつかん 流れ… みんな簡単に言うけど 一人で練習しとるうちにはようわからん 千早は新を見守ることしか出来ない。 新… かるたは野球やサッカーとちがう 応…
新の敵を討つ、と若宮は対戦相手の千早を見据える。が、疑問が生じる。 ? なんでうちがそんなこと思うんや 新の勝ちも負けも うちには関係あらへんのに ただ 確かめてはみたい あんたが新より強いなんてことがあるのか―― 千早の体調は万全。札を眺めると、…
創部したばかりらしきチームが敗退して泣いている。北央の太田が馬鹿にするのを、千早憤慨。思い出すのは、太一と畳を運び入れた日、創部の苦労。他チームの会話が聞こえて来る。瑞沢は創部一年目で全国に出て 二年目で全国優勝で、でも創部時点で経験者が何…
周防の凄まじい追い上げで五分となる。原田は厳しい局面だからこそ、基本に忠実に。作戦も頭の中で組み立てて。出札を念じて。 気づいてないのか 周防くん クイーン戦のほうの残り枚数を 気にしなくなったこと やっかいだったミスを誘う動きより 取りを優先…
瑞沢はまだ劣勢。相手は強い。でも、何故か新よりは弱いように思う。 新 おまえのことを忘れて喜んだり 思い出して励みにしたり ダメだな おれは 忘れることが下手なんだ 太一は原田先生と子供の頃にした練習を思い出す。 5枚先生が多く持って 始まる練習日…