chiha memo

漫画「ちはやふる」の伏線や感想などの超個人的備忘録

第219首 おれの行くところじゃない

長崎から来た周防兼子と正と合流し、乗り継ぎホームへ向かおうとする太一が、千歳と遭遇。千早の着物が入ったキャリーバッグを太一に押し付け、千歳は立ち去ろうとするが。


名人戦の大盤係は、周防側が須藤、新の方は松林舜。新がリードしている。栗山先生の目に、新と新祖父が被って見える。

単調なかるたは好物や

周防が押さえ手で取ろうとしたのを、新が弾く。

負けてもなにも変えない人間の単調さ

千早は自陣の「あさぼらけ・あ」でやっと一枚目。続けて出た「あさぼらけ・う」を戻り手で取り二連取。敵陣の「せ」を攻めて、自陣の「さびしさに」を取り損ねる。次の「ももしきや」を自陣から取った千早に、若宮は気付く。

敵陣右下段をガリガリに攻める主義やったのに まさか

次の「きりぎりす」も千早が自陣左下段から取る。解説の桜沢もそれを指摘。

「綾瀬さんはもしかしたら クイーン陣左下段と自陣左下段 クイーンがもっとも得意なこのラインを 狙っているんじゃないでしょうか」

瑞沢かるた部一行が近江神宮に到着した頃、太一率いる周防家二人と千歳が駅からタクシーに乗り込む。その途中、雪道を行く原田先生と坪口を発見。太一が交代し、原田先生がタクシーに乗る。

雪道を歩く坪口は、太一と雑談。

「知ってっか? 『きみがため・は』 あれ『春の野』って言ってるけど 1月の歌なんだって」

坪口は受験生なのに応援に来た太一に感心しているが。

「千早は集中してると 『太一 瞬きうるさい』って言うんですよ 部室で試合してたら 自分の瞬きの音なんて 自分でも聞こえない 全然わからない そんな世界にいるやつらなんです おれが行ったって できることなにもない 近江神宮はもう おれの行くところじゃない」

タクシーが近江神宮に到着。千歳が会場を見上げる。

君がため 春の野に出でて 若菜詰む

クイーン戦は最終局面。千早が敵陣から「みかのはら」を取り、「せをはやみ」を送る。次に読まれたのは、送ったばかりの「せ」。飛んで行った札を若宮が取りに行こうとする。千早が取りを申し出たが、若宮が審判を仰ぎ、審判の判断は若宮。7枚差で若宮の勝利が決まる。

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クイーン戦第一試合、詩暢勝利。審判は第196首の東西戦第一試合で、本来は太一の取りだったのを見逃したボンクラ氏と同一人物のようだ。前年の名人戦四戦目を描いた第128首でも彼らしき人物が登場しており、その時も「名人の取り」と独白している場面がある。強い者が順当に取ったのだろうと、先入観に捕らわれるタイプらしい。

千早といえば一字決まりだが、今回はとことん取り損ねている。次回以降はどう巻き返すのだろう。天候のせいで到着が遅れていた面々が、どう絡んで行くのかも楽しみだ。

読まれた描写のある札は「しのぶれど」「あらざらん」「あさぼらけ・あ」「あさぼらけ・う」「さびしさに」「ももしきや」「きりぎりす」「みかのはら」「せをはやみ」。そして、広史さんとの会話に出て来た「きみがため・は」。