chiha memo

漫画「ちはやふる」の伏線や感想などの超個人的備忘録

第179首 ここにいるみんなを翻弄しにきたから

休日の真島邸。食器を片付けたり花の手入れをしている太一母に、太一が視線を向ける。口煩いが、所作は綺麗。

解像度が上がる 音の解像度 目の解像度

千早はかるたも勉強も同じ時間を割く毎日を続けている。全力を出している状態だ。

身体の解像度

そして迎えた十月中旬、名人・クイーン戦東日本予選。

かるたの解像度

千早は出場者の中に田丸を見付けて喜ぶが、千早と同じ瑞沢Tシャツではなく、田丸は埼玉咲良会のパーカーを着用している。西田もいるが、翠北会のTシャツを着ての参加。大江と駒野は模試のため、会場に来ていない。

一人立ち尽くす千早。太一を見付けて名前を呼ぶが、気付いて貰えないまま、太一は名人戦予選会場へ行ってしまう。千早は太一が書き残した「次は試合で」と、新と太一の姿を思い浮べる。

ここだ 今日だ 私たちの 約束の試合――

千早の足に痛み。親指の爪が欠けていた。手入れを怠っていた上、絆創膏も持ち合わせていない。準備不足……


田丸の兄、剛は今回こそ主役になろうと意気込んでいる。対戦相手は太一。

「あれ? 君って―― 登録 白波会で出てんの? 白波会じゃなくって もう東大かるた会の一員なんじゃないかって だれか言ってたよ どうなの? 君の先生はもう―― 周防さんなんじゃないの?」

その言葉で原田、坪口、須藤が見る。太一は表情を変えず何も答えずに札を混ぜ、その手で田丸兄の手に故意に触れる。失礼しました、と太一の穏やかな表情につられ、田丸兄の顔が綻ぶ。田丸兄はすぐに気を引き締め、畳に視線を落とす。太一も同じように口元を締め、視線を落とす。田丸兄が息を吐けば、太一も息を吐く。太一が顔を上げると、田丸兄がつられて顔を上げた。目が合い、太一が微笑むと、田丸兄もつられて頬を緩ませている。

いつも プレッシャーを感じることはあっても 大会が楽しみだったことなんてない

試合が始まった。最初は空札で、田丸兄はお手つきをしてしまう。田丸兄が息を吐く。太一も息を吐く。田丸兄が息を吸うと、太一も同じように息を吸っている。田丸兄は二枚目もお手つきしてから、違和感に気付く。

太一が頭に浮かべているのは、瑞沢メンバー五人で円陣を組んだ時のこと。

勝たなきゃいけない みんなのために 勝ったらうれしいけど それは”楽しい”じゃない

今日の太一は勝ちに来たわけではないのだ。

楽しいな 今日は ここにいるみんなを 翻弄しにきたから

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ついに、名人位クイーン位予選の開幕。受験勉強でスルーしたのか、吉野会大会などの描写はない。冒頭、先生との面談にて太一という名前に触れるが、第26巻第136首と第138首以来三度目。現実世界の有名人でも馴染みのあるこの名前、古代中国の神格、北極星天照大神、など壮大で様々な意味があるらしい。名前と言えば、太一妹が由香となっているのは作者ミスらしい。正しくは梨華。

田丸や西田が各かるた会のユニフォーム姿であることに、がっかりする千早。とは言え、白波会所属で出場していながら瑞沢Tシャツを着用している方がちぐはぐに思える。高校生大会で見慣れていたせいか、所属以外のユニフォームが実は場違いであることに気付かなかったよ。しかし、原田先生が作務衣愛用な故、揃いのTシャツを持たない白波勢。過去の一般大会を確認してみると、千早と西田一年時の予選、太一二年時予選、太一の高松宮杯は、瑞沢Tシャツ。他は一年生での埼玉大会、二年生で吉野会大会と新春大会しかないが、いずれも袴姿。今回の太一はパーカーを着込んでいるが、首元から覗かせているTシャツは千早と同じ色。ここぞという場面でお披露目となるのだろう。

試合で読まれたのは「あきかぜに」「このたびは」。いやしかし、太一がひたすら不気味だ。田丸兄とのシンクロぶり、ぞくっとするね。顔つきがやたら美形というか女性っぽいのも、違った意味でぞくぞくするねw