chiha memo

漫画「ちはやふる」の伏線や感想などの超個人的備忘録

第221首 かるたにおいては一要素でしかない

第二試合の大盤係は田丸の予定だが、もうすぐ始まるというのに着替えていない。花野が再び務めることに。着付けしてくれる大江はどういうわけか、出入口に散乱する大量の靴を整理中。田丸が桜沢先生に声を掛けられる。

「いい経験させてもらってるわね いい先輩だわ あなたもここに来るんでしょう?」

原田先生が周防を呼び止め、新と対戦しての感想を求める。

「レーダーチャートで表現するなら 彼は高いレベルで円に近くなるような バランスのいい子ですね 真島くんがやられるわけだ… あの充実を見てると… ぼくなんか もういいかなって思いますね…」

自分は思わない、膝を引きずっても出来る、と原田先生が怒りつつ、周防の身体の調子を暗に訊ねる。周防は静かに立ち去る。

「次はキョコタンの読みなので 楽しんできます」

新が試合会場に入り、千早に「着物が違う」と驚いた声を上げる。千早は虚を突かれ、笑顔を見せながら、経緯を簡単に話し始めるが、新は若宮に追い立てられるようにそのまま自分の席へ。

かけたい言葉があるのに 声のかけ方がわからん チームを持つってがんばってみたのに おれはやっぱり個人の戦いしかできんのかな

新は正面の周防を鋭く見る。新父の目にはまた、新と新祖父とが重なって見えた。

この席で 人のことを 気にしとる場合か

新父にとって、自身の父親である新祖父は物心ついた時から名人の座についており、百首を「たぶん、だいたい」覚えた程度では認めてくれなかった。ゆっくり覚えればいいと優しく言いつつ、見限るのだ。

狂気を備えぬものは来るな

サッカーや野球にゲームでも、かるたより面白い。かるたは要らない。そのまま育ち、やがて結婚して子供が生まれ、自分の子供なのに新の傍にはいつも、かるたと新祖父の姿があった。


第二試合が始まる。クイーン戦側に「ちは」がない。新父には、新と新祖父が似ているのが引っ掛かっている。

「あれは 怖がってるんでないんか? おとろしゅうて おとろしゅうて 自分じゃいられんのでないんか?」

読手は山城。序歌を経て、一枚目の「これやこの」は空札。新は自陣の「この」「こぬ」に反応して止まるが、周防は動かない。周防は二枚目の「こぬひとを」の「こ」で聞き分け、新陣の札を押さえる。原田が考える周防のレーダーチャートは歪で、山城読手の時の「感じ」が突き抜けている。

人望もない バランスも悪い 声も小さい 器用でもない でも それが彼を名人にした 尖った真円

次の「ひさかたの」も周防が新陣から押さえ手で取る。そのように山城読手を得意とする人がいても、若宮は負けたことがない。

かるたにおいては 一要素でしかない

千早が札を移動させる。性格が陰陽で正反対の藤原興風の「たれをかも」、紀貫之の「ひとはいさ」を並べて置いた。更に、清少納言の「よをこめて」、紫式部の「めぐりあいて」も傍に配置。若宮の目の前で、札の神様達がざわつき始める。

43.jpg

memo

休憩時間が終わり、第二試合開始。かなちゃんの履物整理は、周防が部屋に入るまで延々続いている。第95首で説明があった「ラッキー貯金」のため、せっせと活動するが、何処で使うことになるのか。周防の言うチャートは、技術、感じ、運、将来性、根性、体力。

読手の順番は第一試合が芹沢、第二が山城、第三で九頭竜まで判明。第四試合は芹沢の順番だが、都合で早退しなくてはならない山城となり、第五試合に芹沢が回ることになりそうだ。第一巻第一首冒頭、千早が「ちは」を取っている場面では芹沢読手なので、ここに繋がる。つまり、クイーン戦は第五戦目までかかるということだ。しかし、ここで九頭竜さん。千早と周防は聞き込んであるが、他二人はどうだろう。読手が誰であろうが気にしないタイプのようだが。

新父の回想で、野球のバットなどを用意した新父が、新と新祖父を離れて見る描写が切ない。新父の楽天的な性格だとそこまで深刻ではなさそうだが、自分の子を取られてしまったみたいな。でも、新父と新祖父が喧嘩して一時期東京に住むことになったわけで、子育ての食い違いが原因という可能性がありそう。

読まれた札は「これやこの」「こぬひとを」「ひさかたの」。他に、移動させた曰くつきの札で登場する「たれをかも」「ひとはいさ」「よをこめて」「めぐりあいて」。「たれ」と「ひとは」の陰陽については、第212首の詩暢が動画で取り上げている。

これで第43巻が終了。巻末4コマ漫画は、瑞沢応援団事情。