chiha memo

漫画「ちはやふる」の伏線や感想などの超個人的備忘録

第32首 盗めるものがあるなら盗んでいく

千早は瑞沢二組の対戦が見える位置を、ヒョロと陣取る。ヒョロは太一と当たり、三枚差で負けていた。

「甘糟先輩たちはさっさと帰っちゃったけど おれは 勝ってったやつらから 盗めるものがあるなら盗んでいく!!」

太一は気負っている。

来月には名人戦の東日本予選 昇級の最後のチャンスかもしれない 勝つ 確実に

対する西田は名人戦に拘っていない。でも。

真島に先を越されるわけにはいかん

駒野は、正面の大江を見る。尊敬しているのは、丁寧さ、粘り強さ。デメリットは、身体の小ささ、守り重視になりがちな性格。

僕はかなちゃんを知ってる 勝てる

大江の腰が、練習の時のように下がっていない。袴の効果だ。姿勢が良く、動作が一つ一つ美しい。観客も魅了されている。

着物はいつも姿勢よく おなかを締めて 胃と背骨の間に板を一枚入れた感じで 帯は私を支えてくれる 私の真ん中を強くしてくれる

太一は西田から「ふ」を取る。

やったっ!! 会心の取り! いまの超速かった!! まあ 千早ほどじゃねーけどな

と千早に目をやるが、当の千早は大江に見入っている。

駒野は心にメモ。

かなちゃんは袴を着ると攻めがうまくなる 袴を着て100パーセントになる

大江は自身の苗字が入っている「おおえやま」が出ると、その歌を詠んだ小式部内侍の母、和泉式部の歌「あらざらん」に気を取られる傾向がある。駒野は自分で蓄積したそんな大江のデータを元に試合を運んで行くが、お手付きをして札を送られてしまう。

たごのうらに うちいでてみれば しろたへの ふじのたかねに ゆきはふりつつ

不尽の高嶺。大きなものには引力がある気がする、と大江は話していた。彼女が敵陣からその札を取った時、音がせず、無駄なく、まっすぐであったことに、千早は衝撃を受ける。

応援じゃない キャプテンじゃない 『盗めるものがあるなら盗んでやる』 私も 私もだ

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千早以外の部員達が活躍する各級決勝戦で、かなちゃん対机くんがメイン。ヒョロの台詞は「盗んでいく」、千早の回想では「盗んでやる」。まあ、大差ないか。読まれた札は「あいみての」「わびぬれば」「こいすちょう」「さびしさに」「ふくからに」「おおえやま」「あきのたの」「こぬひとを」、かなちゃんの好きな「たごのうらに」。

ファンブックで紹介されている各キャラの好きな歌は、千早が「ちはやぶる」、太一は「たちわかれ」といった風に名前の語感と連動しているのに、机くんの「あらざらん」はセオリーから外れている。後にこの話を読み返し、「おおえやま」と関連があるからだとやっと気付いた次第。