chiha memo

漫画「ちはやふる」の伏線や感想などの超個人的備忘録

第202首 3試合目は譲らん

四枚差で敗退となった結川が泣いているが、審判の今田は驚異の勘を持っている。

「せ」を送られたときに 大きく勝負は傾いた おそらくあれは「最後まで読まれない札」 

名人位予選は、新があと一枚の1-3。太一が徹底して守りがるただったため、「ちは」はずっと新の陣。太一は自陣にある「ちぎりき」を突破口にする考え。太一の頭に、周防の「読まれる札が消えて見えるんだ」という言葉が浮かんでいる。

そんな悲しいかるたがあるか?

心持ち前のめりになっていた太一の肩を、原田が背後から抑える。が、試合中なので、当然錯覚である。我に返って顔を上げ、観客席の原田を見る。

どんなときも おれの先生は 原田先生だけ

太一が畳に集中、その意識が新陣の「ちは」に向いているのを、新が見て取る。次に読まれたのは、空札の「つき」。太一は敵陣を攻めて交わす。汗を拭いたところで、ふと「ちは」だけが目に入った。太一が手を伸ばす。

苦しいときの 右下段

太一が「ちは」を飛ばす 。観客席で熱くなる太一応援組。扉の小窓から、千早も見ていた。太一は「せ」と「ふ」を自陣に残し、新に「ちぎりき」を送る。畳に視線を落すと、今度は「ふ」を残し、他の札が消える。太一が自陣右側から「ふ」を払う。

「ふ」になるまえの音 周防さんみたいには取れない できない あんな天才の真似 おれのあこがれはずっと あのとき(小学生千早)の 千早の取りなんだ

扉越しに見ていた千早の目から涙が溢れる。1-1から、「ちぎりき」が読まれた。新が自陣のそれを守ったように見えた。が、新は囲っていただけで触れておらず、手を浮かせる。

「取れや 太一が取らんと 2試合目が終わらん 3試合目は譲らん」

運命戦になったら譲る、という約束を新が実行したのだった。第二試合の勝者が太一であることを告げる中、千早は涙を流しながら、若宮の膝枕で失神中……

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男子側も二戦目が終了。新が一勝していたから出来たことだが、こんな譲り方はアリなのか。運命戦うんぬんの約束はしたものの関係無く決着して欲しかった。新側の応援団からすれば、ありえねー、なに余裕かましてんだよ、てなもので。

太一が憧れていると言う千早の「ふ」の取りは、第三首で小学生千早が初めて白波会に行った時、原田先生のおでこにびたんと飛ばした場面。小学生太一の表情は全く描かれていない。ただ、太一は第6巻第32首での対西田とのB級決勝戦で「ふ」を取ってドヤ顔していたり、第37巻第191首の対原田戦でも綺麗に攫っていたし、太一もF音が得意としていそうな描写は何度かあった。

「ちは」と「ふ」と言えば、前年の挑戦者決定戦を描いた第23巻第119首にて、新が拘って最後まで自陣に残してしまった札。「せ」は新にも太一にも因縁がある札。そして、最後の「ちぎりき」は、悲しい終わりの恋の歌。

読まれたのは「つきみれば」「ちはやぶる」「ふくからに」「ちぎりきな」で、最後に一枚残ったのが「せをはやみ」。