chiha memo

漫画「ちはやふる」の伏線や感想などの超個人的備忘録

第14首 二人のもの

六月、全国高等学校かるた選手権大会東京都予選。本選は七月に滋賀の近江神宮で行われる。瑞沢かるた部は皆、袴姿で参戦。千早はかるた選手ばかりが集まる会場に感動し、新に知らせようとメールを打ち始める。先月の誕生日以降、頻繁にメールを送っているものの、返信が来たことはない。そもそも千早のアドレスも教えた筈なのに、太一の携帯に誕生日メールが届いたのが疑問だ。太一の胸の内はこうだ。

おれはわかる なんとなく おれたちはどこかで 千早のことを 「二人のもの」だと思ってる

他行生徒が袴姿の千早を撮影するのを、太一が遮る。千早はそんな太一の背中を見て思う。

最近 太一がなんか変だ なんか変だ いつの間にか

千早はヒョロと再会。ヒョロは五年連続で全国大会に出場している北央学園かるた部で、一年生ながら八人の登録メンバーに入っている。幸いにして瑞沢は北央とは別の予選リーグだが、全国大会に行けるのは一校だけ。

一回戦。千早、太一、西田が早々に勝ったのを見て、駒野は焦る。一番強い選手と当たり運が悪かったと、太一は慰める。西田は太一と対戦オーダーについて議論。その間、千早はまたメール。西田が大江に説明する。

「あれだろ? 綿谷新だろ? 綾瀬にかるた教えたやつだよ 超強ーの そいつ いま福井なんだけど 綾瀬 全国大会でそいつに会いたくて かるた部作ったんじゃねーのかなあ」

大江は千早が置かれている状況を想像して「せをはやみ」の歌を詠む。太一は二試合目へ向かおうと歩き出す。その背中を見て、感じるところがある大江。それとは別に静かに考え込んでいる駒野だが、配列表を見て気合を入れ直す。

しかし、駒野にとって、試合は散々。千早の払った札が顔に飛んで来るし、大江は初勝利を挙げ、自分一人だけが負け。決勝トーナメントを前に盛り上がる中、駒野は試合を放棄して帰りたいと言い出す。

「だって… 僕がいなくても勝ち星は足りてるし 1勝もできないし…」

大江は気にしないようにと宥めるが、駒野はその大江にも調子に乗るなと放言。

「全国大会に出るための数合わせなんだよ だれでもよかったんだ 大江さんじゃなくても 僕じゃなくても」

千早がそれは違うと否定するが、駒野は指摘。

「全国大会で会いたいやつがいるんだろ!? そのことばっか考えてるじゃん」

帰ろうと立ち上がった駒野に、太一は冷静に厳しく言い渡す。

「…駒野 一試合だけ休んでいい 決勝戦には出てもらう 部長命令だ」

千早は反対するが、太一は抵抗する千早の手を掴んで引き摺るように会場に向かう。

「駒野が悪いんじゃない おれたちは かるたをしてるときはまだ”個人戦”の気持ちでいる まだチームになれてないんだよ とにかく勝って 決勝に進む 4人で絶対3勝以上だ 駒野とまた戦うために」

太一は千早の肩を叩く。

「千早 おまえだけは 絶対に負けるなよ」

その言葉が千早にズシンと圧し掛かった。

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東京都予選。リーダーらしく部長命令を出す太一。登場する札はかなちゃんが千早が置かれた状況を詠んだ「せをはやみ」、試合中に読まれた「あまつかぜ」「たきのおとは」「わすれじの」。