chiha memo

漫画「ちはやふる」の伏線や感想などの超個人的備忘録

第93首 私はきっとまだなんにもわかってないんだ

千早の手術は成功。夏休みの宿題の短歌にとりかかるが、かるたがしたくなる。

おれ 試合するときはいつも あの部屋に帰るんや

新の言葉を元に想像してみる。アパートで対戦する新と西田、新と若宮……そして新と自分。

新と出会ってから 私の毎日はかるたでいっぱい 強くなりたくて強くなりたくて あの情熱を受けて立てる人間に

太一と大江が千早の見舞いに来る。大江は千早が作った短歌を読んで気付く。

夏の日の 暑さのとどかぬ 室内で きみの言葉の 届くしあわせ
この角を 曲がってふっと 会えるかな 奇跡か夢か そういうの待ち

見舞い帰り、大江は「千早もいつまでもあんぽんたんじゃない」と太一を励ますが、太一は顔色を変えることなく「わかってる」と返事するだけ。


千早は桜沢先生に誘われ、富士崎かるた部の一泊合宿に、太一と二人で参加。ヒョロ他、北央からも来ている。試合にランニング、ストレッチ、裏山登山。そして、桜沢の指導。

「かるたは矛盾の競技よ 速く取ればお手つきが増え 遅いと取られる その矛盾とつきあいなさい 自分にとって いちばん最適な矛盾の交点を探しなさい どんなに苦しい試合でも焦らないために いま苦しみなさい 追い込まれた経験がない者は決して強くはならないわ」

千早は知らなかったが、桜沢は準クイーン五回。クイーンにはなれなかったが、最強の挑戦者と言われていた人物。

合宿の夜は、女子同士で恋バナ。千早は「彼氏は」「瑞沢の部長は」と問われても、皆が呆れるような答え。

「か…… 彼氏とかはいないんだけど でも…… かるた強くならないと 目の前にさえ座れないから がんばらないといけないんだあ」

そんなかるたバカを余所に、高校選手権で告白すれば良かったなどと恋バナを続ける女子達。

みんな…… そういう気持ちであそこにいたんだ 好きな人がいて 同じ気持ちになって 新は…… どんな気持ち? わかんない全然 でもわかりたくて かなちゃんの言うとおり 私はきっとまだなんにもわかってないんだ

太一は富士崎の部長にストレッチを教わっている。千早が窓から覗いていると、ヒョロ登場。太一はこの日の七試合全勝だったと言う。凄いと感心する千早に、ヒョロは釘を刺す。

「余裕こいてんなよ おまえだってあぶねーぞ! 公式戦で当たったことねーだろ おれ…… 夏の大会の時も思ったけど 真島は おまえがそばにいないほうが強いと思う」

千早と太一は小学生の頃から一緒だったが……

私はきっとまだ なんにもわかってないんだ 太一のことさえも

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千早が新の言葉を元にイメージした、アパートを背景にしての三組の対戦。何故ここで新対肉まんくん? 直近の個人戦で顔を合わせていたけれど、千早がその試合を気に掛けている様子は無かったのに。新と太一ならまだしっくり来るし、あのアパートならば幼馴染三人で三組の対戦を思い描かないのか? 新と肉まん、新と詩暢、新と千早という組み合わせだから新を軸に思い描いたとしても、何だか違和感。と思っていたところ、この時点で気付くわけもないが、高校三年夏の大会とも繋がっていた。組み合わせだけではなく、その視線も。答え合わせは第31巻以降。

そして、他校の生徒にも「かるたバカ」で通っている千早。瑞沢の部長は、と聞かれているのに、新のことを思い浮かべていて耳に入っていない様子。前話で「新が好きなんだ」とか閃いた様子も一転、新の気持ちを「私はきっとまだなんにもわかってないんだ」、更には「私はきっとまだなんにもわかってないんだ 太一のことさえも」。太一が第3巻第16首で「千早のことさえわかってないんだって~」と言っていたのと対になっているのだろうけれど、千早の場合は幼稚さだけが気になる。

第17巻終了。藤の花言葉は「優しさ」「歓迎」「決して離れない」「恋に酔う」。歌は第90首より「かくとだに」。巻末四コマ漫画は、西田姉弟の名前、千歳写真集で散財した千早、ヘアワックス、大食い理音。