chiha memo

漫画「ちはやふる」の伏線や感想などの超個人的備忘録

第183首 笑ってない好きな人のお母さん

花野が太一の邪魔はさせまいと、太一母の前方を阻む。むっとする太一母。

「あなた 私の連絡先知ってたわよね 相変わらず長くて見てられないわ この試合終わったら連絡して かるたどころじゃないのよ 連れて帰るわ」 

太一母は近辺で店を探そうとするが見当たらない。花野が案内を申し出て、二人はタクシーでカフェへ向かう。


太一は守りがるたと見せかけ、忘れた頃を狙って敵陣から取る。

周防さんから教わったものを試そう それ以外はどうでもいい 名人を目指す人たち相手に できるかやってみよう

千早と桜沢先生は、八枚対七枚。桜沢の教え通り、千早が途中で姿勢を正している。

取ってるとわかる 抑制がきいている 高音が4オクターブ出る歌手が 2オクターブで歌うような

千早が飛ばした札を、原田先生が拾ってくれる。原田には以前、「速く取るのをやめなさい」と注意された。

どうしていいかわからなかったけど 今は 力が溜まっていくのがわかる 一枚一枚 札に合った取りをすること

桜沢が姿勢を正し、千早も同じように正す。

たくさんのものをもらったけど 先生じゃない 私は生徒じゃない 1枚を1ミリをともに追う 挑戦者だ

一方、セレブなカフェに連れて来られた花野。

私これまで この世で一番怖いのは パンダ目に気づかないことだったけど いまならわかる 一番怖いのは「笑ってない好きな人のお母さん」 好きな人の……

花野は緊迫した空気を変えるべく、太一母に話し掛ける。

「お…お母様も 学生時代はおモテになられたんでございますでしょうか……?」

は? と冷たく返す母だったが、「太一ってモテるの?」と疑問をぶつける。花野はスマホに撮り溜めた画像を嬉々として見せ始める。バレンタインにホワイトデー、太一杯、クリスマス。太一母は「真島先輩」フォルダがあること自体に驚愕しつつ、次に花野が零した言葉で彼女を見詰める。

「私もうフラれちゃったんですけど このフォルダは消せなくて」

テーブルにアフタヌーンティセットが並べられ、花野に倣い母も撮る。

「ケーキの写真は自慢したら消しちゃうけど 先輩のフォルダは もし間違って消しても 消えない… 私にとってたぶん この恋が人生で一番 きれいな恋になるんです」

太一母はそれを静かに聞きながら、花野に以前「先輩は自分になりたくてがんばってるんです」と言われたことを思い出していた。花野は焦って止めるが、太一母は席を立つ。


花野が会館に戻るが、太一母の姿は見えない。太一は七枚差で既に勝利を決めており、千早も二枚差で勝った。三回戦に勝ち進んだ西田は、太一を見て決意。

勝つ できるだけ 真剣勝負をしてる あいつのそばにいる

太一は北央の瀬田百太との対戦。身体の動きも耳も良いようだ。”感じ”について、周防は「生まれつきと環境」と言っていた。

環境はおれだって悪くなかったはずなのに なんで 耳悪くなったのかな

子供の頃、台所仕事をする母に背を向け、リビングでイヤホンをつけて本を読んでいた自分――そんな光景を思い出しながら、太一は相手にスピード攻撃。

どうでもいいと思いながら 息の根を止めてやる とも思う 

駒野と大江が会場に到着。千早の準決勝は、理音との対戦。太一は須藤戦。原田先生に負けた西田は、駒野と一緒に観戦する。

真島が苦しかった日を いまを いつか笑って話せるとしたら おれと机くんだけなんだ

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二回戦、三回戦が終わり、準決勝へ。肉まんくんの「勝つ~あいつのそばにいる」は、第29巻第149首で千早が考えていた「そばで戦い続ける だってきっと太一ならそうする」に通ずるものがある。なるほど、「勝ちに来たんじゃない」と言う太一の答えが曖昧になっているが、揃いの瑞沢Tシャツがそれなのかもしれない。

第29巻第149首の大江母に続いて太一画像コレクターに出会った太一母だが、付き合っていた彼女のことやかるた部員以外の友達の存在にも、興味を向けたことがなさそう。近江神宮に来るなどという描写を経て、かるたを許す方向なのかと思いきや、連れ戻し宣言なので、結局どうしたいのかが分からない。そもそも、医者である太一父もどう考えているのか、登場を待ちたい。

太一の方は子供時分に目を向けてもいなかった母の所作をこの巻冒頭の第179首では気付いており、歩み寄りがみられる。第31巻第161首で周防に「持ってるものを無視しすぎだ」と注意された反省もありそうだ。

描写があった札は、千早と桜沢戦で「みちのくの」、太一と瀬田戦で「おもいわび」「しらつゆに」くらい。

第35巻終了。表紙や作中でも描写されている金木犀花言葉は、小さい花なのに香りが素晴らしいことから「謙虚」、散り際が潔いことから「気高い人」が代表的らしい。他には「真実」「陶酔」「初恋」とも紹介されている。千早の援護射撃的なつもりで来ている面もあるようだし、「気高い人」が一番しっくり来るかな。帯は「その香りに惑い、溺れる。」

袖の歌は第182首より「月見れば」。巻末四コマ漫画は、文化祭続編で北央勢と対戦する原ちゃんと一年生部員。