chiha memo

漫画「ちはやふる」の伏線や感想などの超個人的備忘録

第193首 かるたしかないんやけどな

西日本女子代表は結川桃。主に小石川と練習。若宮とも取るが、歯が立たない。若宮はかるたとは関係のないテレビ番組での活動が目立ち、タレント気取りと陰口を叩かれている。若宮はスノー丸柄の着物を作るため、稼ぎたいだけだ。

「そんくらいのお金も自分で稼げんで なにがクイーンや」

結川は反物を作る藤岡屋に交渉するよう提案。しかし、結川主導で企画書まで用意したのに、若宮祖母が日高屋と懇意にしているので、藤岡屋には断られる。無駄足となった上にスウェット姿で来た若宮に苦言を呈する結川だが、若宮を見ればスウェットもバッグもタイツもスノー丸柄。若宮は深刻そうな表情で零す。

「ええな 結川さんは かるた強くて 頭もよくて お医者さんになるんやろ? ええな うちには かるたしか ないんやけどな」

結川は若宮を心配して見やりつつ、黒い笑みを浮かべる。若宮との練習は自信を無くすだけ、と皆は言うが。

そうか? 勝てるんとちゃうか?って瞬間もあるんやで すくなくともポカ作似の高3女子(千早)には負けん

千早は猪熊と練習。猪熊は自陣の定位置を動かさないので、相手陣の暗記に集中出来る。千早は相手が取り易いままにしておかないよう、相手陣から取り、送ることを心掛けている。猪熊によれば、新は20枚くらい自陣を逆に配置しても取れるよう練習しているらしい。

「私もやらないと そろそろ”感じ”頼みじゃ勝てないわ」

練習を終え、猪熊がふと玩具の車を手に取る。昔の自分はスーパーカーで、今はファミリー用軽自動車、しかし20年後は今の自分さえスーパーカーだろう、と言う。

「半音を意識して取り続けるのよ あなたが乗ってるのは まちがいなく 最速の真っ赤なスーパーカーよ」

新が上京。まずは、大学の推薦入試。社会科学部志望で、認知症になった祖父の話を交え、面接に挑む。

「競技かるたという定点を足場に ぼくは構造を変えていきたい」

面接官には「かるたの名人……になるの?」と訊かれ、「なります」と答える。


東西挑戦者決定戦、当日。千早は身軽に動けるよう、大江作「うそつき半襟」を着用。新は祖父の着物を自分で着る。太一は着付けを済ませて会場入り。短髪になっていて、皆を驚かせる。

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東西挑戦者決定戦までの日々。興味深いのは、千早は今年の準クイーンで過去四連覇のクイーン、結川は三連覇中のクイーン、太一も五連覇中の永世名人と練習し続けているとして、新の相手は多分村尾ぐらい。今年の準名人である原田先生の元に来たと第35巻第181首で触れられているものの、滞在数時間程度だろう。村尾は第9巻第48首によれば元準名人(新が中二の時)とあるが、残念ながら他三人より現ランクでは落ちる。地理的事情もあって、新はその点不利だね。

新の大学推薦入試にて、面接官がポカンとした反応にも取れるのが不安要素。かるたをどう社会に還元するのかを考えるよう先生に忠告されていたが、具体的に伝えている場面が無い。結川の素晴らしいプレゼン振りは、対比として描かれたのかも。

新の母は「息子との最後の旅」で上京する筈が発熱し、父が代わりに来た。わざわざ母を遠ざけたからには、男親ならではの役割が発生するのか。駄目親父ではない面も見せておきたいところだ。但し、それは新にとって良い展開にはならない予感。

千早は新の定位置の話を聞いても名前に反応せず、定位置のことに関心が行っている。すっかり戦闘モードなのだろうけれど、条件反射的に頬を染めることが減っている。ただ、真っ赤なスーパーカーの話の背景に久しぶりの紅葉乱舞があり、少し被せるように新の面接場面へと続く。

登場した札は、結川対小石川戦で飛んでいるのが「ももしきや」。千早対猪熊で読まれた「こいすちょう」、千早からの送り札は「みかのはら」で、恋の歌揃え。新の面接時、百人一首を語る場面で描かれているのは「このたびは」「あらしふく」「わがいおは」「やすらわで」など、紅葉や竜田川などが含まれる歌と微妙な内容の歌とが混在。他にぼやけて判別出来ない札が幾つか。

第37巻が終了。第34巻の千早、第35巻の太一から一巻置いての、新の襷姿の表紙絵。牡丹の花言葉は「風格」「富貴」「恥じらい」、そして村尾が暗に指摘していた「人見知り」。袖で紹介されている「春すぎて」は、第190首にて理音がお手付きで敗戦した札。マイナス要素が揃っているのが気になる。巻末四コマ漫画は、東日本予選から帰宅中の富士崎勢。

尚、表紙に描かれた花について、紙版コミックスに「椿」とコメントがあるが、正しくは「牡丹」だと作者様自身のTwitterアカウントにて訂正済み。